頭痛について

頭痛の多くは脳に明らかな異常がないのに起こる「一次性頭痛」ですが、まずはクモ膜下出血、動脈瘤、椎骨動脈解離、脳腫瘍等の命に関わるような疾患、放置していてはいけない疾患を鑑別する必要があります。片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛等の慢性頭痛に対しては適切な治療法、予防法を検討していきます。ご自分に合った薬剤の選択と内服法、生活習慣の改善等を考えていきましょう。

危険でない頭痛(一次性頭痛)

片頭痛

片頭痛は、女性に多く、月~年に数回不定期に起こる頭痛で、痛みは数時間から長くて数日続きます。女性ホルモンバランスの変化、寝過ぎ・寝不足、疲労、光や音などの強い刺激などが主に誘引となり、脳の血管が拡張して起こると言われています。ご自分にとってどのような状況の時に起きやすいのか日記などをつけることも有効です。
症状
ズキンズキンと脈打つ痛み、吐き気、嘔吐を伴う、生あくびや眠気を伴う、動くとひどくなる、光・音・匂いに敏感になる。

緊張性頭痛

緊張性頭痛は、身体的精神的ストレスにより、頭の横や肩首の筋肉が緊張することで起きます。痛みが一週間~長期間にわたり続き慢性化しやすいのが特徴です。長時間同じ姿勢で筋肉に負担がかかるデスクワークのお仕事の方に起こりやすい頭痛です。マッサージや入浴などで症状が軽減することが多いです。普段から姿勢に気を付けることが大切です。
症状

頭の両側・後頭部などが圧迫されるように重く痛む、肩首のこりが強い、軽い吐き気は伴うが嘔吐はしない。

群発頭痛

群発頭痛は、男性に多い頭痛で、毎年決まった1~2ヵ月間に集中して毎日ほぼ決まった時間に痛みが起こります。1回の痛みは15分~3時間ほど続きます。アルコールなどの血管を拡張させる作用があるものを摂取した時に発作のように起きることが多いようです。あまりの痛みに、じっとしていられず動き回ってしまうという方もおられます。
症状
頭の片側や目の片側の奥がえぐられるような強い痛み、目の充血・涙、鼻水を伴う、睡眠時でも目が覚めるほどの痛み

危険な頭痛(二次性頭痛)

脳の血管に何らかの障害や病変が起こることで、二次性頭痛は発症します。考えられる脳疾患はさまざまですが、脳疾患は発症してしまうと後遺症が残ったり、最悪の場合、命を落としてしまいます。出血が少ないと軽い頭痛が続くだけという場合もあり、たかが頭痛と思わずに、早めの受診が何より大切です。

このような前兆症状があったら受診しましょう

□今までに経験したことがないような痛みがある
□突然の激しい痛みがある
□嘔吐、めまいを伴う
□しびれや麻痺を伴う
□発熱を伴う
□痛みがどんどん強くなる
□痛み止めが効かない
□頭を打ったり怪我した後に起きる頭痛

考えられる疾患

脳卒中(脳出血、くも膜下出血)、脳腫瘍、慢性硬膜下出血

頭痛〜番外編〜

椎骨動脈解離(解離性椎骨動脈瘤)

頭痛の際に常に忘れてはいけないのがこの病気です。もともと頭痛持ちではない40~50代の男性で数日前から持続性する片側の後頭部痛を訴えて来院されるのが典型的な状況です。何らかの原因で血管を構成する膜と膜がはがれて血管が膨らんでしまったり、狭くなったりします。頭部MRI検査でほぼ診断がつきますが、CT検査ではまずわかりません。頭痛症状で発症された1~2割の方が破裂してくも膜下出血や、閉塞して脳梗塞等を発症しますが、血圧管理等を行うことで8割の方はそれ以上の進行を予防できることも多いです。数週間単位で画像所見が変化していくことが多く、中にはその後血管が全く正常化する場合もあります。

後頭神経痛

頭頂部、後頭部等に突発的な短時間の疼痛が出現する病気です。ストレス、肩こり等が原因となりうるようです。多くの場合は鎮痛剤の内服、入浴等で数日で軽快、消失します。典型的なものは症状から診断がつきますが、MRI検査を行うと椎骨動脈解離が見つかる場合もあり油断できません。
気になる症状がある方は、MRI・CTによる精密検査をオススメします。
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